仁義なき戦いシリーズ
原作は広島ヤクザ抗争≠フ渦中に生きた元美能組々長・美能幸三(映画では広能昌三)の手記にもとづき、飯干晃一が『週間サンケイ』に連載した実録ノンフィクション。映画化にあたり、笠原和夫がもう一度取材し直した名脚本を深作欣二が監督にあたった。当時の東映は、一時隆盛をきわめた任侠映画が下火になり、それに変わる新路線が求められている時期であった。深作は会社の期待にこたえ、映画は大ヒットし、東映の実録路線を決定づけた。かくして、任侠映画の持つ義理人情は微塵もない、策謀と裏切りが渦巻く血みどろの抗争が、手持ちカメラを多用した迫力ある映像に焼きつけられることになった。
             
(ぴあシネマクラブ 日本映画編 2002−2003より)

シリーズ1作
仁義なき戦い
昭和48(1973年)、東映京都

監督:深作欣二 
原作:飯干晃一 
脚本:笠原和夫 
撮影:吉田貞次 
美術:鈴木孝俊 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・松方弘樹・金子信雄
    梅宮辰夫・田中邦衛・川地民夫
    名和宏・木村俊恵・渚まゆみ

“仁義なき戦い”シリーズの第1作で、シリーズ化は撮影直前に決定された。このため最初、菅原文太は本作で殺される坂井役に決まりかけていたが、急きょ広能昌三役へと変更になった。
深作はそれまでも実録タッチのヤクザものを何本か作り、暴力の世界に生きる若者の激烈な青春像を戦後史を絡めて描いてきたが、本シリーズはその集大成といえるだろう。

敗戦直後の広島県・呉市。戦争から復員してきた広能昌三(菅原文太)はヤクザのいざこぎに手を貸して殺人を犯し、刑務所に服役する。広能はそこで土居組の若頭の若杉寛(梅宮辰夫)と知り合い、兄弟分の盃を交わす。山守組の組長山守義雄(金子信雄)に保釈金を出してもらって出所した広能は、やがて山守組の組員となる。山守は次第に勢力を伸ばし、土居組との間で抗争事件が起こる。広能は土居組組長の土居清(名和宏)を殺し、再び刑務所に戻る。
そして、広能に手を貸した若杉も山守の密告で警察に包囲され、銃撃戦で死亡した。その間、山守組では組員の坂井鉄也(松方弘樹)が勢力を伸ばし、内部抗争が激化していた・・・。

めまいを覚えるような荒々しい手持ちカメラで撮られた暴力描写がドキュメンタリーを見ているかのように生々しく迫りとともに、テーマ音楽も津島利章の古典的とも言える主題曲の単調な繰り返しが、独特のリズムとバイブレーションを生んでドラマを盛り立てている。


シリーズ2作
仁義なき戦い
広島死闘編
昭和48(1973年)、東映京都

監督:深作欣二 
原作:飯干晃一 
脚本:笠原和夫 
撮影:吉田貞次 
美術:吉村晟 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・北大路欣也・梶芽衣子
    千葉真一・小池朝雄・名和宏
    成田三樹夫
前作は主人公・広能がヤクザ社会に身を置いてから、抗争事件に疲れ、山守に盃を返すまでを、欲望渦巻く人間の集団劇として描いたのに対し、今回はその中で生きる若者にスポットを当てている。
時代は第1作のラストからさかのぽり、朝鮮動乱。工員だった山中は博突のトラブルがもとで刑務所に服役する。出所した山中は、靖子のところへ身を寄せ、村岡組の組員になる。やがて村岡組に盾つく大友との間で抗争が起こる。山中は広能たちと違って、戦争には行かなかった遅れてきた世代であり、その痛恨がいたるところに描かれている。

シリーズ3作
仁義なき戦い
代理戦争
昭和48(1973年)、東映京都

監督:深作欣二 
原作:飯干晃一 
脚本:笠原和夫 
撮影:吉田貞次 
美術:雨森義允 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・小林旭・渡瀬恒彦
    金子信雄・加藤武・成田三樹夫
    山城新伍 

今回の舞台背景となるのは昭和35年から38年の高度成長時代。前2作ではまだ組員だった広能も広能組の組長になるなど、組織的に固まってきた広島ヤクザの陰謀と裏切りが渦巻く抗争を描く。
昭和35年、広島最大の暴力団・村岡組の跡目の座をめぐって、打本と山守が対立していた。打本は神戸の明石組に広能を介して盃を申し入れた。それを快く思わない村岡は跡目を山守に譲り、山守組は広島最大の暴力団となった。打本は孤立し、明石組に逃げ込み正式に明石組の傘下に入った。一方、山守も神戸の神和会と縁組みし、代理戦争の幕が切って落とされた。


シリーズ4作

仁義なき戦い
頂上作戦
昭和49(1974年)、東映京都


監督:深作欣二 
原作:飯干晃一 
脚本:笠原和夫 
撮影:吉田貞次 
美術:井川徳道 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・小林旭・梅宮辰夫・黒沢年男
    田中邦衛・金子信雄・加藤武・小池朝雄

昭和38年、広島は西日本広域暴力団・明石組と神和会の代理戦争の場と化していた。相次ぐ抗争事件への市民の批判から、警察は頂上作戦を敷く。明石組系の打本組と広能組、神和合系の山守組の双方は激しく対立。広能の組員が槙原の組員に射殺されたことから抗争は一段と激化する。一方、山守組系の早川組の組員が女をめぐり、打木組の組員を射殺したため、明石組が大挙して広島へなだれ込む。しかし、老獪な山守の画策によって広能は別件逮捕され、形勢は逆転する・・・…。


シリーズ5作

仁義なき戦い
完結編
昭和49(1974年)、東映京都


監督:深作欣二 
原作:飯干晃一 
脚本:笠原和夫 
撮影:吉田貞次 
美術:鈴木孝俊 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・北大路欣也・松方弘樹
    桜木健一・田中邦衛・伊吹吾郎・山城新伍
本来は前作で終了する予定だったが、ヒットが続くので「完結編」として本作が作られた。
舞台背景になるのは昭和41年から46年まで。
警察の頂上作戦でいちおう終結したかに見えた広島ヤクザ抗争は、組員の出所により再燃する。



新 仁義なき戦いシリーズ

シリーズ1作

新 仁義なき戦い
昭和49(1974年)、東映京都

監督:深作欣二 
原作:飯干晃一 
脚本:神波史男・荒井美三雄 
撮影:吉田貞次 
美術:雨森義允 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・松方弘樹・金子信雄
    若山富三郎・渡瀬恒彦・田中邦衛
“仁義なき戦い”シリーズは5作日の「完結編」をもって終了したが、装いも新たに製作さ
れたのが本作。時代背景になるのは昭和25年。
金子信雄演じる山守義雄は前シリーズと同じだが、登場人物は役名を変えて登場し、広島を舞台に陰謀と流血の抗争が描かれる。


シリーズ2作

新 仁義なき戦い
組長の首
昭和50(1975年)、東映京都

監督:深作欣二 
脚本:佐治乾・田中陽造・高田宏治 
撮影:中島微 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・山崎努・渡瀬恒彦
    梶芽衣子・成田三樹夫・織本順吉
    室田日出男
“新仁義なき戦い”シリーズ第2作だが、前作とはストーリー的な関連性はない。映画は
昭和43年の北九州を舞台に始まる。覚醒剤密輸の利権で肥え太った暴力団・大和田組の派閥抗争・跡目相続をめぐる陰謀を、カーアクションを盛り込んでスピーディに描く。



シリーズ3作

新 仁義なき戦い
組長最後の日
昭和51(1976年)、東映京都

監督:深作欣二 
脚本:高田宏治 
撮影:中島徹 
音楽:津島利章

出演:菅原文太・成田三樹夫・松原智恵子
    和田浩治・藤岡琢也・小沢栄太郎

“新仁義なき戦い”シリーズ第3作で、ストーリーは前作同様、独立したものとなっている。
大阪の大暴力団と九州の暴力周の抗争のなかで、組織を外れた男が単独で大暴力団の組長の首を狙う。組織の上層部の駆け引きと、血気にはやり死んでゆく若者たちが描かれる。
                     (ぴあシネマクラブ 日本映画編 2002−2003より)