| 無法松の一生 |
| 製作:中泉雄光 原作:岩下俊作「富島松五郎伝」より 監督:稲垣 浩 脚本:伊丹万作 稚影:宮川一夫 音楽:西 梧郎 美術:角井平吉 出演:阪東妻三郎・月形龍之介・園井恵子 澤村アキオ(後の長門裕之)・永田 靖 川村禾門・杉 狂児・山口 勇・葛木香一 尾上華丈・香川良介・二葉かほる |
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| 岩下俊作の小説「富島松五郎伝」の映画化を構想した伊丹万作が自ら手掛けたシナリオを、病臥に伏した伊丹に代わり稲垣浩が監督し完成した名編。 またこの作品は松五郎を演じた主演の阪東妻三郎が初の現代劇であったが見事な演技で、長い映画歴の中でも代表作の一本となった。 |
| 男の中の男のような豪毅なヒーローが、自分よりずっと目上の、結ばれるはずのない高貴な女性に思いをよせ、それを秘めたる恋として心の中にかくしたまま、彼女につくしぬく。これは男尊女卑の日本の堅実化の伝統には欠けているが、西洋では中世の騨士道物語の基本型として成立して以来、メロドラマの中心的なパターンとして続いてきたものである。日本でも近代化以来、堅実化の中に西洋的な型が徐々に入り込んでくるが、一見これこそ日本的人情話だと誰もが思う物語の中で見事にこの西洋的な型を消化していたのが「無法松の一生」である。 明治時代の九州小倉の話。無法松(阪東妻三郎)とアダ名で呼ばれる主人公は滅法喧嘩の大好きな人力車夫。しかし根は気のいい男で、あるとき気の弱い男の子・敏雄(沢村アキオ)を助けてやったことからその子の一家に出入りするようになる。その家の主人は将校だが、まもなく亡くなり、未亡人となつた奥さん(園井恵子)は、子どもを男らしく育てられるかどうか不安だと言う。無法松は私にまかせて下さいと言って、なにかとこの母子の家に出入りしては少年の後見役になり、ときには喧嘩のやり方を実地指導したりする。こうしてこの映画は、乱暴者だが無類の正直者のおじさんが、息子のような少年に男らしさのなんたるかを身をもって示すという、大人と子どもの友情物語のようにして進行し、阪東妻三郎の愛嬌あふるる豪放さが素晴らしく、〈男らしさ〉というものの模範とも思われてその点で大いに感動的であった。 しかし無法松は、自分の少年に対する愛が、じつはその母親の上品な未亡人によせる愛の変形であることを自覚していて、ある日ついに彼女にその心を打ち明ける。そして「わしの心は汚い」と言って去ってしまう。ところがこの場面は当時のGHQの検閲によってごっそりカットされた。太平洋戦争もすでに敗色の濃い時期であり、「軍人の未亡人に身分の低い男が言い寄るなど、戦場にいる兵士を不安にさせるばかりだ」という判断だったと思われる。こうして騨士道的恋愛の要素の導入は不完全に終ったが、それでもそこからくる男のやさしさとストイシズムの美は日本映画には珍しいもので、十分に感動的だった。 稲垣浩監督は、15年後にこの完全版をめざして三船敏郎主演で1958年に再映画化し、これはヴェニス映画祭でグランプリを得た。 (佐藤忠男著 「日本映画300」(朝日文庫) より) |
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| 無法松の一生 |
| 製作:田中友幸 原作:岩下俊作「富島松五郎伝」より 監督:稲垣 浩 脚本:伊丹万作・稲垣 浩 撮影:山田一夫 音楽:團伊玖磨 美術:植田 寛 出演:三船敏郎・高峰秀子・芥川比呂志 笠原健司・松本 薫・笠 智衆 飯田蝶子・稲葉義男・宮口精二 左 ト全・有島一郎・田中春男 |
| 阪妻主演による戦前の名作の再映画化。 第1回作品が当時のGHQの検閲によってカットされたのを不満とした稲垣浩が、同じ伊丹万作の脚本をカラー、ワイド・スクリーンで新たに監督した作品。 無法松のの三船、吉岡夫人の高峰が好演、名作の誉れ高い前作と比べても甲乙つけがたい作品だ ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞。 明治30年(1897)、九州・小倉。人力車を引く松五郎(三船敏郎)は、喧嘩っ早いが人情に厚く、無法松の名で人々に愛されていた。 ある日松五郎は足を痛めた少年を救い、少年の父親である吉岡大尉(芥川比呂志)と親しくなる。だが、大尉が急死。松五郎は、残された良子夫人(高峰秀子)と息子の敏雄を懸命に.支えるのだった。夫人への思慕を胸に秘め、松五郎は我が子のように敏雄の成長を見守り続ける。三船敏郎が、豪快だが繊細で純粋な松五郎を熟く切なく演じ、涙と感動を誘う。 |
| 三船敏郎の太鼓さばき 未亡人の息子とその先生を連れて祇園祭をみに来た無法松が祇園太鼓を打つのをみてこれは本当の打ち方でないといいながら俺が“ちょっとまねごとをやってみようが”とダシの上に上がる。“蛙打ち”を軽くはじめ“流れ打ち” “勇み駒”に進む。バチは大きくまた小さく、空間を切って美しい弧を画いているが、急湍に激する滝水の如き音はー瞬も熄む暇がない。最後に”暴れ打ち” だァ!と叫ぷと急ピッチの打ち方となりぴっしより水を浴びたように汗で光る背中の筋肉を躍動させるのだった。太鼓は恰も心もあって自ら鳴るかのようであった。 三船敏郎にとってはもっとも意気のあがる痛快な場面だが、本職が前に録音したはやしに三船のバチさばきが、ちょっとでも合わないとすぐうそがばれてしまう。このため三船は約10日間カブキのおはやしをやっている田中伝次氏について本格的にけいこし、バチさばきも花柳綿蔵氏に曲芸ばりの打ち方を習ったという。いざ本番に当たっても、本職なみの曲打ちをみせ、五百人のエキストラから“本ものの拍手”をあぴてテレながらゴキゲンの態。 さて前作で阪妻に太鼓の打ち方を教え、こんど又三船に手ほどきした田中氏は両人を比較し、このシーンに関しては故阪妻さんも兜をぬぐでしょうと語っていた。 (劇場パンフレットより転載) |
| 想い出の名場面 |
劇場用ポスター |
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