人間の条件
(第1部〜第6部)
1959年〜1961年 にんじんくらぶ 



監督・脚本:小林正樹
製作:若槻 繁
原作:五味川純平
脚本:松山善三
音楽:木下忠司
撮影:宮島義勇

出演:
仲代達矢・新玉三千代・山村聡
    宮口精二・佐田啓二・淡島千景
    有馬稲子・小林トシ子・中村伸郎


戦後最大のベストセラー小説である五味川純平の同名小説の映画化で、小林正樹監督にとってのライフワークともいえる超大作である。
全篇で合計9時間38分という長尺になる。自分の生き方に忠実な余り、戦争の渦中に身を投じなければならない男が、愛する妻と引き裂かれ、しかも戦争には完全に同化しえないという苦悩を背負いながら生き抜いていく様が、力強い演出で描かれる。
小林正樹監督の代表作として評価も高い。

        ヴェネチア映画祭サン・ジョルジョ賞受賞
        ヴェネチア映画祭イタリア批評家賞受賞


昭和18年、南満州鉄道鋼会社に勤務する梶(仲代達矢)は、労務管理係として、「満州」の老虎嶺鉱山に新婚の妻・美千子(新珠三千代)とともに赴任する。そこには中国兵の捕虜や日本軍に捕えられた中国人たちが大量に送り込まれて奴隷労働を強いられている。梶は彼らを酷使することに耐えられず、鉱山労働者として送り込まれた中国人捕虜を人間として扱うように要求するが、これを酷使せんとする鉱山の幹部や軍と対立する。さらに脱走事件がおこり、憲兵が中国人捕虜を惨殺する。止めようとした梶に召集令状が届き、ソ連国境の戦場へ送られる。
そしてソ軍との戦いに敗れて満州の荒野をさまよう。超人的に強い彼は、この間、ただ迫害に耐えるばかりでなく、常に自分よりもっと弱い兵士や日本人難民たちなどを助けつづける。
最後に彼はソビエト軍の捕虜収容所に入れられるが、ソビエト軍のスターリニズム的な残酷な管理とそれに追従する日本兵捕虜組織に抵抗して脱走し、雪の厳寒の荒野で愛する妻の名を呼びながら死んでゆく。

第1部・純愛編
第2部・激怒編
昭和34(1959年)
 にんじんくらぶ/歌舞伎座プロ
愛す妻と共に、決して楽でないが幸せな日々を送っていた梶。だが、そんな彼らに戦争の影が迫っていた。ある日、梶は召集令状を受け取る・・・・。シリーズ導入部のここでは夫婦の像がメインに押し出され続く悲劇との鮮やかなコントラストを成す。
第3部・望郷編
第4部・戦雲編

昭和34(1959年)
 
人間プロ
関東軍に初年兵として招集された梶は、上官らの不条理な命令には従わず、あえて自分を自分を曲げなかったために、様々なリンチを加えられる。それでもなお自己の信念と主張を貫こうとする梶の目に映った軍内の生活は、戦争によって醜く歪められた世界だった・・・・。
上官たちのリンチに耐えに耐え抜く梶の姿は大衆の共感を呼ぶ。
梶の妻がはるばる夫を訪ねて現れ、ふたりが久しぶりに再会する雪の夜のラストシーンは胸をしめつけられるほど美しい。
  第5部・死の脱出
  第6部・曠野の彷徨

  昭和36(1961年)
  
松竹大映/にんじんくらぶ
敗戦後、梶はソビエト軍の捕虜収容所から脱走、故郷と妻を夢見て放浪の生活を送る。ついに肉体と精神の極限状況まで追い込まれ、吹き荒れる吹雪の中、愛する妻の名を呼びながら死んでゆく。
壮大なスケールで戦争と人間、愛と憎しみを描いたシリーズの完結編。