山椒太夫
昭和29(1954年)、大映京都


製作:永田雅一
原作:森 鴎外

監督:溝口健二  
脚本:依田義賢・八尋不二 
撮影:宮川一夫
音楽:早坂文雄
美術:伊藤熹朔

出演:田中絹代・花柳喜章・香川京子
    進藤英太郎・菅井一郎・浪花千栄子
    毛利菊枝


平安時代の末、越後を旅していた母(田中絹代)と幼い安寿(香川京子)と厨子王(花柳喜章)は、人買いにだまされて引き離されてしまう。安寿と厨子王のふたりの子供は、丹後の大地主・山椒太夫(進藤英太郎)の荘園に奴隷として売られ、毎日苛酷な労働に苦しめられる。
山椒太夫のもとで10年間を耐え忍んだ姉弟はある日佐渡から来た新入りの女奴隷の口ずさんでいた歌で母は生きていることを知る。

安寿と厨子王丸は母に会いたい一心で、ある日逃げ出す決心をして荘園を出るが、追っ手が迫り、安寿は弟を救うためにおとりとして池に身を投げる。厨子王丸は逃げ延びて国守となる。
都で出世した厨子王は荘園の奴隷を解放し、母を求めて佐渡に渡って目が見えなくなっている母と海辺で再会する。老いさらばえてボロをまとって砂に足を投げ出している田中絹代の母に、花柳喜章の厨子王がにじりより、低い声で語り合ってひしと抱き合う。
森鴎外の小説で有名な話を溝口健二が重厚な演出で描いた秀作。ラストのパン撮影
影で捉えられた海のシーンは息をのむほど美しく、ジャン・リュック・ゴダールがのちに「気狂いピエロ」のラストで再現した。
ヴェネチア映画祭銀獅子賞
                      (佐藤忠男著 「日本映画300」(朝日文庫) より)
                      
(ぴあシネマクラブ日本映画編2002〜2003より)